2010年04月30日

ダイヤの研磨作業

ダイヤの研磨・カットの話し

ダイヤには「劈開(へきかい)」というものがあり、その劈開面に沿って石を割ったり削ったりします。

ダイヤモンドの結晶は、何重にも層が重なることにより平面をつくります。その層の目が「劈開面」であり、いわゆる石目と呼ぶものです。


ダイヤは他のものより硬いので、ダイヤを研磨するには同じダイヤでなければなりません。

ダイヤを研磨する円盤にブレンドされたオイルを塗り、そこにダイヤモンドパウダーを撒き、ダイヤを研磨する円盤に目的のダイヤをそっと触れさせながら研磨して「ウィンドウ(窓)」をつくります。

その窓から内部を覗き、亀裂(グレッツ)やキズ、斑点やくもりがないか、あるならばその位置の確認などして様々な判断を下し、限界のサイズを探りながら最終的な研磨に移って行きます。

大きな原石だと何面もの「ウィンドウ」をつくります。

ダイヤの原石は少し濁ったような色をしています。
つまり濁りの部分を研磨して「窓」をつくり、その後の工程のために内部の検査をするのです。

大きな原石のダイヤの場合は小さなダイヤを飲み込んでいる場合があり、そこは層の面が違ってくるので非常に気を付けなければならない場所です。
(木に例えて、その部分を「節」といいます)


小さな黒い斑点(カーボンインクル)などの斑点、あるいは小さなキズなどがある場合は、なるべく端の方に。そして出来るだけ「クラウン」の方に持ってこれるようにします。

「パヴィリオン」の方は光が沢山反射してくる場所なので、ここに「カーボンインクル」やキズ等があると目立ってしまい、宝石の価値が極端に薄れてしまうからです。
特に「キューレット」付近にあるとまずいでしょう。

(カーボンインクルも「節」と言うほどではありませんが、極々小さな小さなダイヤの結晶なのではないかと思います)


このような様々なことを考慮して、そのダイヤ・原石に合ったカット面の場所やあるいは、ラウンドにするか他のシェイプにするかなど、カットの種類等を決めて行きます。


大変細かな作業ですね!
自然の産物なので、ひとつとして同じものはないですから大変です。

特にすごく大きくて価値のあるダイヤの場合、下手したらとてつもない大金がパーになってしまいますから、その神経の使い方は並ではないのでしょう。

例え、びっくりするくらい大きな原石が見つかってもその素性によっては、研磨・劈開作業時に粉々になってしまう可能性もあります。

価値の可能性が高くなるほど、ある意味、博打のようなものなのでしょうね。


有名な「カリナン」の原石は、3106カラット!! 
当時3人の研磨師が8ヶ月掛かって9個の宝石に磨き上げたそうです。

なにか想像もつきませんが、一度でいいから観てみたいです。・・・というか欲しい!(笑)

この「カリナン」は「プレミア鉱山(現カリナン鉱山)」から産出されましたが、それに関しては次の機会に。



posted by マーキス at 19:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ダイヤモンド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月17日

ダイヤモンドの近代的価値

ダイヤモンドの近代的価値・産業的な貢献


ダイヤモンドは近代産業になくてはならないものです。

自動車、航空機、兵器、建設機械、医療用機械・器具、セラミック製品、その他諸々、耐久性を必要とされる産業部品の切断や研磨等はダイヤが必要とされるからです。

耐久性を必要とされる部品・部材は、それ自体がかなりの強さと硬さを備えている場合が多い。

また、精巧な研磨面を必要とされる場合等、様々な用途としてダイヤモンド(あるいは人工ダイヤモンド)が利用されています。
(加工にダイヤが適さない合金等もありますが、現在ではそのような用途にも対応できる人工ダイヤも開発され使われているようです)


熱伝導性等に優れたダイヤは、トラブルが許されない重要なものの配線機器等の一部にも使われたりします。

「NASA」の最先端機器などにも使われ、侵食性がなく透明性の高い性質を持っているので、衛星のレンズカバーなどにも使われるそうです。

産業界に不可欠だということは、極端に言えば国の工業的・産業的発展にも関わってきます。
精度の高い「航空機や近代兵器」を開発しようとするならば尚更で、国家間の重要なパーワーバランスにも関わってきます。

原産地がアフリカに集中していた当時、アメリカは冷戦時にソ連などの東側に供給されるダイヤモンドなどを阻害する政策を取ったりしました。

コストを抑えた人工ダイヤなどの技術が現在ほど発達していなかった当時では当然の国家戦略だとも思いますが、逆にこのことがキッカケとしてソ連は多くの「キンバーライトのパイプ」を発見することになります。

アメリカ一国だけが群を抜くスーパーパワーを持ち続けるのは、世界にとって計り知れないメリットもあるのですが、非常に危険でもあります。

神様が上手くパワーバランスを崩さないように働きかけたのでしょうか?


ちなみに、冷戦終結以降、アメリカはアフリカ諸国に対し軍事的関与を強めました。
その目的はダイヤモンドをはじめ、コバルトやクロム、プラチナ・パラジウム等の白金、そして「石油」などの資源です。

エネルギー資源の豊富な国々への積極的な軍事的関与は、戦略的輸送路の確保等も強固にします。

大義名分は「テロからアフリカを守ること」でしょうが、誰もそのような謳い文句は信じてはいないでしょう。

また、政治的影響力を持つ産業界の意向が、国民の利害に優先する場合は多々あり、特にアメリカの「軍産複合体(ミリタリー・インダストリアル・コンプレックス)」の権力は絶大です。
(元アメリカ大統領であるブッシュ父子も石油産業及び軍事産業と非常に深い関わりがあります。
この事と、9・11事件後のイラクに対する過剰な反応と無関係ではないように思います。)



2164429922_364b76528f.jpg「ミールヌイ鉱山」(キンバーライト)
クリックすると大きな画像でみれます


話が少し飛んでしまいましたが、大いなるロシアで「ミールヌイ(ミール)鉱山」(サハ共和国)が発見されたことをはじめとして、その後も次々に「パイプ」が発見され、ロシアも有数なダイヤモンドの産地の仲間入りを果たしました。

ロシア産のダイヤのほとんどは「サハ」から採れるものですが、比較的グレードの高い上質の原石が採掘されると聞きます。


エピソードとして、当時ロシアはダイヤモンドと他の石を振り分けるのにX線を利用した装置を開発したそうです。
ロシア側は国家機密とし、その事を知らなかったダイヤモンド産業界は、急激に市場に現れるようになった「ロシア産ダイヤモンド」に相当な危機感を抱いていたようです。

それはロシアが、「低コストのダイヤモンド合成技術を開発したのではないか」という噂が立ったからでした。

ダイヤモンドが商品となり店頭に並ぶ、あるいは、消費者・お客さんの手に渡るまで、採掘の調査から加工、枝葉に分かれた流通経路等、様々な手間とコスト・工程を経て、お客に渡るものですが、ダイヤそのものの価値だけでなく、気の遠くなるほどの工程故に希少性と価値が更に増すのも事実です。

それが根底から崩れることになれば、ダイヤモンド業界にとって一大打撃となります。
しかし、当時人工・人造技術は途方もないコストが掛かるので、これは噂に過ぎませんでした。
(現在は工業用としての人工ダイヤは多目的に利用されています)


ダイヤモンドは自然の産物・鉱物としては「金・ゴールド」ほどは希少ではありませんし、工業製品としての需要も人工ダイヤ等の技術が発展した今日では高価なものではありません。

生活必需品でもない宝石は、ある意味消費者の価値観でしかないといえます。

ですが、顧客を含めたすべての宝石に関わる人達にとって、他の鉱物にはない「類稀なる特徴を持った」ダイヤモンドが特別なものであるのに変わりはありません。

多くの人々にとって特別な意味を持ったこの宝石の価値観は、今後も「永遠の輝き」を放ち続けることでしょう。
posted by マーキス at 22:07| Comment(3) | TrackBack(0) | ダイヤモンド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月12日

紛争ダイヤモンド 欲望が生んだ戦争と取引

アンゴラの内戦 争いから欲望の目的へ

ダイヤモンドはダイヤが持つその性質から長い間盗難や密輸が行われてきました。

ポルトガルの植民地政府から独立した「アンゴラ」で、1975年から勃発した「アンゴラ解放人民運動(MPLA)」と「アンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)」の内戦は、ダイヤモンド戦争と呼ばれる、内戦国から流れるダイヤモンドの問題の最たるものでした。

1993年までにアンゴラの4分の3を支配した「UNITA」は、ダイヤモンドを産出する主要な場所を手に入れ、その多くの収益が戦争の資金の支えとなっていましたが、1994年、和平協定に署名。武装解除しました。
(その後、再び争いが始まりましたが・・・)

ダイヤモンドの販売による収益で多くの富を得た「UNITA」は、敵を倒すための戦闘能力を支える資金が目的のはずだったダイヤモンドの収益が、いつの間にか利益を得るための目的へと変わって行ったようです。

「コンゴ」でも各アフリカの軍隊がダイヤモンドを目的として入り乱れており、アフリカの第一次大戦と揶揄された紛争です。
外国からの侵入者を含め、あらゆる者たちがダイヤモンドの産出地帯を手に入れようとしていました。

戦争の最中、盗品を含め大量の非合法ダイヤが市場に流れるようになりましたが、その流出の基点となっていた所のひとつが、西アフリカの「リベリア」です。
非合法の大量のダイヤが、リベリアを通過して市場に流れて行きました。

「マネーロンダリング」ならぬ、「ダイヤロンダリング」「リベリア」で活発に行われていた訳です。
良質とされるアンゴラのダイヤもリベリアで大量に「洗浄」されました。


カンボジア森林等の木材の違法伐採を告発してきた「グローバル・ウィットネス」というNGOのグループが、このダイヤモンド紛争による違法ダイヤの詳細を暴き、発覚した事実に飛びついたマスコミにより、ダイヤモンド業界の黒い部分が浮き彫りにされ、さらに1999年、「グローバル・ウィットネス」は「死に至る取引」キャンペーンを展開。

ダイヤモンドがアフリカ地域で繰り返される血で血を洗う紛争と密接に関係している事を国際社会に告発した事をきっかけとして、他のNGOも次々とその問題に取り組み、ダイヤモンド業界をゆるがす大きな衝撃となったのです。


これを受けて「デビアス」はアンゴラの購買所を閉鎖し、公開市場でアンゴラの原石を買うのを禁止。

2000年にダイヤモンド産業界の流通網から「紛争ダイヤモンド」「非合法ダイヤモンド」を排除する目的として「キンバリー・プロセス」が発足しました。(2003年1月施行)

ダイヤモンド原産地証明書の義務付け、また、すべての輸入国はキンバリー・プロセス認証なしの未加工ダイヤモンドを受け入れないことに同意。
更に、ダイヤモンド産出国は定期的な国内検査の受け入れの義務付け等、その他諸々多くの基準・規則が決められました。

しかし、「デビアス」が活発に公開市場で購入していた原石の中に「紛争ダイヤモンド」が含まれていたのは間違いなく、デビアスの内部調査で「自社の原石に問題はないと判断できた」というのは、にわかに信じ難いことです。

また、デビアスの鉱山だけでも数億ドルにのぼると云われる盗品のダイヤを含め、莫大な量が取引されるダイヤモンドが、流通末端まで至る間に政治的統制力の弱い地域・国々も経由し、複雑で長い経路を経るほど、特にその末端に近い業者が非合法のダイヤか合法なダイヤか判断できるのは不可能に近い。

そして、当たり前の話なのですが、ダイヤは大麻や覚せい剤などと違い、一旦流通してしまえば持っているだけではもちろん違法ではありません。
更に、業者から業者、人から人に渡ったり転売されてきたら、善意の第三者にとって、それが紛争ダイヤの非合法ダイヤかなんて関係ありませんし、意識もありません。

一般消費者から見れば美しく魅力的な「ダイヤモンド」という宝石の商品でしかないのです。
少量ならば人ひとりでも容易に隠して持ち運びができ、テレビや車などの分かり易い工業製品と違い、どこの製品か見た目で区別のつき難い、自然の鉱物である宝石の根本的な難しさです。

盗まれたダイヤをデビアスが知らずに買っている場合も多々あるでしょうし、盗品は別にしても産出国を決定付け、間違いのない末端までの流通を確実に遂行することは現時点では不可能でしょう。


まずは原石に付着した土・泥等の成分を科学的に調べるシステムを確立することも急務ですが、様々な企業の商業戦略の目的から、原石の品質を特定される危険性もある取り決めとサンプル提供に多くの企業が難色を示すのではないでしょうか?
(輸送や小売業者などの販売・流通のいわゆるダウンストリームの業界はいざ知らず、鉱山会社・採掘会社などのアップストリームの業界はたぶん死活問題になってくるのではないでしょうか)

各地域・各参加国とダイヤモンド産業界の統制と厳しい指導・調査及びシステムの確立が「キンバリー・プロセス」には求められています。

人々を魅了してやまない、価値あるダイヤモンド。欲望の連鎖はとどまる気配がなさそうです。
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2010年08月23日

ダイヤモンド 色の加工

「ファンシーカラー」

通常ダイヤモンドのカラーはDからZまでの記号・ランクで示されますが、カラーダイヤはそのような範ちゅうの枠の外にあります。

ピンク・ブルー・赤・オレンジ・グリーン・グレーなどの色のダイヤです。
これをファンシーカラーダイヤモンドといいます。ダイヤ好きの方はもちろんご存知ですね。

ファンシーカラーのダイヤモンドが採掘される確率は非常に低いものなので、かなり貴重で価値があるものです。

ピンク・ブルーのダイヤモンドは人気が高いようです。
トリートブルーのダイヤは最近よく出回っていて、比較的安価で楽しむことも出来るようになりましたが、「ナチュラル」のブルーで濃い目の色はなかなかお目にかかれないお品です。

イエロー・ブラウン系は比較的手に入れ易いカラーですが、イエロー系でも「アンダーNやS」は「ファンシーカラーダイヤモンド」とは認識されず、若干ランク的に価値は低く見られるのが一般的です。

ちなみに、ナチュラルグリーンのダイヤモンドでは、ドイツの「ドレスデン・グリーン」と呼ばれる約40カラットの美しい見事なダイヤモンドがあります。58面体のブリリアントカットでペアシェイプの素晴らしいダイヤです。


当然、人工的な放射線照射等の色付けのされたダイヤよりナチュラルカラーのダイヤの方が価値がありますが、ブラウン系のダイヤモンドを高温・高圧をかける事(HPHT処理)によってイエロー〜グリーニッシュイエローに変化させる技術も開発され(NOVAプロセスと呼ばれています)、識別方法も進んでいますが完全とはいえないらしく、注意が必要です。

また、「GE POLプロセス」のダイヤモンドというものがあり、「NONAプロセス」のダイヤモンドと同じく、高温・高圧をかけて処理されたもので、これはカラーグレードの低いダイヤが無色のダイヤに変わるもので、50%以上が識別不可能とも云われており、ダイヤモンドの「グレード・価値・価格」に直結する大変重要なことですので早急の対策が必要です。

このような処理は、人工ダイヤモンド等、工業ダイヤモンドの開発の過程から生まれた技術と思われます。

また、ピンクダイヤによく行われているといわれる、色をコーティングしている技術もあり、これは、特別な顕微鏡を用いて識別されるようです。

それと、インクルージョン等の不純物や割れ目などに充填剤を入れて肉眼では分からないようにする技術もあります。

これは私も何度か「中央宝石研究所」で見てもらったダイヤの中に、幾つかこの処理をされていたダイヤが含まれていたことがありました。
(ダイヤモンドはX線を透過するので、透過し難い他の物質は黒く見えることで比較的容易に判断できるようです)

いずれにしても肉眼では分からないので、専門の鑑定機関での判断を仰がなければなりません。

様々な技術が開発され、宝石の価値の判断はますます難しくなってきているようです。
このようなことがあるからこそ、信頼の置ける鑑定機関と鑑定書及び鑑別書などがとても重要になってきます。

特に高価なダイヤモンドは財産的な価値ともなり得るものですので、カラーダイヤに限らず、シビアで慎重な判断も必要だと思います。
posted by マーキス at 18:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ダイヤモンド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月02日

ダイヤモンドの未来

「ダイヤが持つ特性と工業的な将来性」

私たちを魅了してやまない、ひときわ存在感を示すダイヤモンド。
そのダイヤモンドには様々な優れた特徴があります。

ダイヤの特徴のひとつに、以前にも少しだけ触れた「熱伝導率」の高さがあります。

単純にいえば熱を素早く移動させる能力があるということです。
感覚の鋭い肌の部分でダイヤに触れれば冷たく感じるはずです。これは、肌から素早く熱を奪うからです。

ダイヤの熱伝導率は鉄などよりはるかに凄く、その高い熱伝導率を利用すれば非常に効率的な「放熱効果」(ヒートシンク)が得られます。

様々な工業製品・機械などは、それを稼動させていると沢山の熱を溜め込みます。
製品の長期的で安定した性能を導き出すためには、その熱を効率よく逃がさなければなりません。
そのために、ダイヤの特性を活かした放熱機械・放熱技術の開発は盛んになってくるでしょう。

(半導体レーザーのサブマウントとして幅広く利用されていたのがすでに古くなったり、求められるものは時代と共にめまぐるしく変わってきており、新たな試み、新たな分野からの需要等、ダイヤをめぐる環境も刻一刻と変化しているようです)


また、不純物が多く含まれると熱伝導率は低下します。
天然ダイヤモンドの多くには窒素が含まれているので少し能力が低下していまいます。(それでも高い熱伝道率ですが)
現在では、ダイヤの中でも稀にある、窒素の含有率の低いダイヤと同等の性能を持った人工ダイヤモンドが工業製品に用いられています。

ちなみに、この「窒素」を多く含むものは黄色をしていて、ほとんどのダイヤがこれに分類されます。
他の多くのカラーダイヤは、このタイプに含まれますが、様々な窒素や炭素の原子の欠陥と組み合わせによって生まれるようです。

そして、窒素の含有量が少なく、ホウ素が含まれていないものは無色、わずかにホウ素が含まれているものが青色をしていて、これらの産出量は極稀です。
ですので、無色、そして特にブルーの天然ダイヤは大変貴重なものとなるのです。



また、金属等は熱伝導率が高く「熱膨張率」も高い。
たとえば、鉛・アルミニウム・銅・鉄などは真夏の炎天下の中ではかなり膨張します。

金属に限りませんがそのような特性や外的・内的な作用・応力等を考慮し、破壊やひずみ・降伏、追随防止等のために、製品や構造物のつなぎ目には「エキスパンションジョイント」(構造的に分割された接合)でクリアランスを取るか、あるいは目地・目地材(他にも目的があります)を施したりしています。

このような熱膨張率の高いものは精密機械のデバイス等の用途には向きません。
しかし、ダイヤモンドは「熱伝導率が高い」特徴を持ちながらもシリコン以上に「熱膨張率が少なく」温度差による変化が少ないので、今後益々精密機械等の用途に利用され、そのことによってさらにそのような製品の小型化や性能向上に役立って行くのではないかと思います。



類稀な素晴らしい特徴を持ったダイヤ。
クリーンエネルギーとして注目されている「太陽光発電」にもその性能向上のために、ダイヤ・人工合成ダイヤが注目され活用されて行くのではないでしょうか。

ドイツに抜かれ二番煎じ(シェアは世界一?)となった日本の「太陽電池技術」ですが、挽回する勝機はもしかしたらダイヤ(人工ダイヤ)が鍵となるかも知れません??
パネルを薄くする技術も難しいらしいですが…  

技術的なことは分かりませんが、実用に伴う沢山のエネルギーを得ようとするには莫大な面積のパネル(太陽電池)が必要となり、さらに1年の四季、あるいは1日の太陽光は大きく変動します。
変動するエネルギーの対策のためには、パネルで取り入れたエネルギーを蓄電・貯蔵する技術も不可欠で(パネル自体には蓄電能力はありません)、まだまだ多くの課題が残っています。

(太陽電池の主流はシリコンですが、人工ダイヤを使用したもの、あるいは併用したものが必要とされるかも?)


超高価なダイヤは別として、毎年産出されるダイヤは価格統制のタガが緩み始めたことからも、小さなダイヤの価格的価値等は若干衰えてきています。
しかし、工業的な価値は今後も上がる一方でしょうし、宝飾品としての価値もダイヤモンドほどの様々な特徴と魅力に溢れたもの、かつ、その特徴からくる美しさは他の追随を許さず、ある一定の水準を保ったまま今後も特別な地位と輝きを保ち続けることと思います。
posted by マーキス at 01:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ダイヤモンド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月12日

光と色の演出

「照明の妙」

様々な特徴を持ちながら、その個性的な輝きを楽しませてくれる宝石。

自然の鉱物を繊細なカットや研磨技術等で磨きあげ、宝石の商品として出荷され店頭に並びますが、宝石は光の反射によって、よりいっそう輝きますので、店頭のディスプレイも様々なモデリングを催して飾られます。

ユーザー自身も光にかざして眺めたりして楽しんだりしていると思います。

特にお店側にとっては、お客さんに商品をより綺麗にみせるために店内、あるいは店外に工夫を凝らし、お客さんの購買欲を促すことができるよう努力しています。


商品にライトを照らし、明るくみせるのは当然ですが、これは宝石をより輝くようにする効果のみならず様々な理由があります。

宝石に限らず、たとえば、町の歩道沿いなどに立ち並ぶお店のショーウィンドウなどは、店内と分離している場合も多い。
つまり、展示しているスペースの店内側にボード等を貼り、そこからは店内が見えず、その部分は完全にディスプレイスペースとなっている場合などです。

これはそのディスプレイされた商品を、外から見た人によりはっきりと見せるためです。

明るい場所から暗い店内を見た場合は、ウィンドウのガラス面が鏡面となり内部が見えにくくなります。これを「反射グレア」といいます。
その現象の特徴から、特に昼間は見えにくくなります。

そこで、ショーウィンドウのバックにボード等の壁を造り、店内とは分離し、すぐ後ろに壁を擁する展示物を照明することによって、視覚の盲点を補っているのです。

また、バックにボード等を施さない場合(ショーウィンドウからもお店の中が見える構造)は、照明の明るさ強さを外部より明るくしたり、あるいはお店によってはガラスに若干の傾斜を施すことにより、グレアを防止したりしています。

外壁面のショーウィンドウ等でディスプレイを施さない場合も、お店の方針や職種により、外部からも店内がよく見えるようにしたり、あるいは同じようにガラス張りの店舗であろうが、逆に外部からは見えにくくしているお店もあります。

これも照明の加減や照射角度、光の入射角度、あるいはガラスへの施し等により、工夫・調整していますし、できます。

ちなみに、南側に面した店舗は、直射日光を遮る庇がある店舗や奥まった店舗でない場合は、自然採光の変化が激しく、北側採光の店舗は安定した採光が得られます。(たとえば、美術館等は北側採光が望ましいと言えます。建物の形・構造等にもよりますが。)

ショーウィンドウ等の照度は750[lx]以上(750〜1500くらい)にしている場合が多いと思います。
(外壁面のショーウィンドウ、店内のショーケース等の種類の違い、あるいは目的の違いにより変わってきますし、それ以下の照度の場合もあると思います。)

また、照明によって展示物の陰影をつけるためには、方向性の強い照明を施すことによって立体感のある演出ができます。
逆に拡散性の強い光は柔らかさを演出できます。

照明は、その方式を大きく分けると、部屋全体を一様に明るくするための「全般照明」と、必要箇所のみ照らす「局部照明」、並びに、その併用の方式として「タスクアンビエント照明」があり、用途によってそれらを使い分けします。

ちなみに、視線から30°以内に高輝度のものがあるとまぶしく感じ、視対象物が見えにくくなります。これを「直接グレア」といいますが、そのような角度からの光源がほしい場合は、カバーを付けることにより対処していると思います。



展示対象物のバックとなる壁等のボード類やショーケースを上から覗く場合のパッド・ボード等の敷物類、あるいは店舗内全体で、宝石店の店舗は白等のシックな色合いを基調としている場合がほとんどです。

アパレルなどの派手な?色合いで様々な演出をしているのとは対照的ですね。

宝石店では、扱っている商品が宝石ですから、高級感や清楚感等の清らかでリッチな?イメージをかもし出さなければならないので、どうしても派手で軽い感じのする演出はできません。


また、室内で展示対象物を見るとき、「視作業」をするときは、視対象に入射する輝度と周りの輝度に差がありすぎる場合は、疲れが生じます。特に小さなものはよけい疲れます。

アパレル商品などと違い、宝石店の対象商品はもっと小さなものとなりますし、お客さんもその小さな対象物の「視作業」が、お店での主な行為となりますので、さすがにあまり凝りまくった演出はできません。

なので、宝石店などは単に高級感を出すという目的だけでなく他のことも考慮して、どちらかというと通り一遍のお店の施し様になるのです。


ただ、お店全体の雰囲気としてはそのような施しになりますが、部分的には様々なディスプレイとボード等、並びに特定の商品を対象にやや小さめの独立したショーウィンドウ等を使ったりの演出もしていますね。




「主役を引き立たせる色」

さて、宝石のように透明感のある石、特にダイヤモンドなどのカラーレス、あるいはそれに近いそれほど色が濃くない宝石等を演出するために、バックとなるものは、どのような色合いのものがより引き立たせるものとなるでしょうか?

透明感のある宝石は、かなり極端に言えばどんな色合いのものでもそれなりに?引き立たせることはできるともいえますが、あえて言えば、「青」 「緑」 「赤」 そして「黒」ではないかと思います。

これらの色の対比色(引き立たせる効果色)が「白」だからです。

「白」はもちろん、クリア色とは違いますが、これらの色をバックにすると映えるように個人的には思います。

特に「青」は「寒色系」ですので、低明度であり、「赤」のような「暖色系」の高明度のものより、対象物をより引き立たせやすいともいえます。

また、以前にもふれた、青〜青緑の色は低照度の場所で最も強く感じられる「プルキンエ現象」(視感度のずれ)というものが生じますので、対象物を引き立たせつつ、バックの色にも独特の印象を与え、視覚的に微妙で魅力溢れる演出ができるようにも思います。

皆さんも、ダイヤのリングやネックレスなどの商品のディスプレイ、あるいはルースなどを撮影したもので、青系の色のボードや布・生地等をバックにしたものも結構見掛けるのではないでしょうか?

綺麗ですよね。これに局部的な照明を当てるとさらに鮮やかに映える演出効果が見込めると思います。
もちろん、青系以外の色も、青とはまた違った魅力のある演出色となります。
(黒や少し濃い目のグレーなども、カラーレスの石だけでなく、カラーストーンも映えますね。)

また、「赤色」も紅白が映えるように、プラチナを基調とした宝石類は映えます。
但し、赤は高明度なので、映えるのは映えるのですが、バックがあまりにも目立ちすぎるように思いますし、少し派手です。
もちろん、ケースバイケースですが、もっと薄めのピンク色のほうが柔らかい印象を与えます。

Pd-vv3335.JPG以前ネットで見た、青系がバックの綺麗な写真の真似をしてみようと、厚みの薄いボードをダイソーで買ってきて、局部照明を当てて撮影してみたものです。

青の色が少し薄めのボードです。クラリティーのよいルースが被写体なので、もう少しバックの素材がよくてプロのカメラマンの方が撮れば、とても綺麗な写真が撮れると思います。



元々が透明感のある美しい輝きを放つ宝石ですが、この魅力的な石たちの煌めきがさらに倍増するよう、常に様々な「光と色の演出」が行われています。





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※ Marty Balin - Hearts
「マーティ・バリン」/ ハート悲しく

http://youtu.be/dIF74lH4KPM

いい曲です。よろしかったら…


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posted by マーキス at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ダイヤモンド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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