2010年06月03日

「デビアスの皇帝」

「デビアスとオッペンハイマー」

南アフリカ、ケープタウンの兄弟が所有していた農場が採鉱地となった鉱区を、後に「セシル・ジョン・ローズ」が買い上げ、その兄弟の名前がついた鉱区の名から「デビアス・マイニング・カンパニー」を設立しました。
それが「デビアスグループ」の前身です。

後に「デビアス」を支配したのは、ドイツ系ユダヤ人の「アーネスト・オッペンハイマー」及びその子息です。
(ちなみに、デビアスの創始者「セシル・ローズ」はフリーメイソンだったと云われています。)


第一次世界大戦が勃発してから、多くの鉱山が閉鎖され商品は急落しました。

その中で南アフリカの保護領となっていた現在のナミビアは生産を続け、世界の供給量のかなりの割合を占めるようになり、南アフリカの保護領の行政官は重要になった鉱山をある企業に売るよう所有者達に圧力をかけ、そのことに同意しました。

その企業が「アーネスト・オッペンハイマー」の会社だったのですが、「デビアス」の重役達は、根回しを巧妙に行ってきたオッペンハイマーの行動を理解していなかったようで、重要な「ナミビア」を失うことになります。

「ナミビア」での大成功を収めた後もオッペンハイマーの野望は衰えず、様々な採鉱地を自分の支配下に置くと共に「デビアス」の株を増やし続け、ついに49歳の若さでその世界での頂点に君臨することになります。

1929年12月、デビアスの取締役会で会長の座に就くことに決まり、有力且つ有能な親族に恵まれその利点を最大限に生かした切れ者の「サー・アーネスト・オッペンハイマー」は、ダイヤモンド業界の巨人「デビアス」の皇帝となったのです。
ラベル:デビアス ダイヤ
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2010年06月04日

「デビアスの価値」 価格カルテルと経済

「デビアスの価値と経済」

現在はこの不況により宝石の値段もかなり安くなって来ているのではないかと思います。

各国々の経済状況より値段の相場は当然変わってくるものであり、かつては投資の対象にも利用され財産にもなった絵画等もかなりの値崩れが起きています。

絵画などでもそうですが、宝石・宝飾品の文化が根付いている欧米と違い、日本の宝石界の事情は景気に左右されやすいといえます。(欧米でももちろん左右されるでしょうが・・・)

この不況はなんともしがたいですが、他の業界も仕事の単価や商品の値段の落ち込みは大きく、とても経営が成り立たないほどの酷い業種・業界も多いです。


仮に「デビアス」の価格コントロールがなかったら、日本、いや業界全体での過去から現在へのダイヤの価格はどうなっていたのでしょうか?
想像もつきませんが、下げ幅はともかくとして、ダイヤの価格だけでなく他の宝石の価格への影響にも飛び火しているのは間違いのないことでしょう。


ある意味「デビアス」の価格カルテルは、市場の自然な競争原理に背いたものと言えるかも知れません。

新たな供給源を開拓した者も、デビアスが長年掛けて築いた「価格の安定と維持」の恩恵を必然的に授かることも出来るでしょう。

一般消費者から見れば、企業努力ゆえの結果なのだから当然だと思う人もいるでしょうし、ひとつの企業、あるいは権力者が価格をコントロールする権力を保持し、その業界も恩恵を受けていることに対して、極々単純に「けしからん」と思ってしまう人もいるかも知れません。

しかし、経済というものは競争原理が働いたほうが市場価格が安くなり、一般消費者あるいは皆のためになるという単純なものではありません。

単に市場価格が安くなるだけ、物が安いだけでは経済のバランスが崩れてしまいます。それは決して消費者のためにはなりません。

逆に経済を活性化するため、あるいは安定のためには「必要悪」というものが存在し、それが容認されている場合も多々あり、多くの人々にとってその方が得になる、皆のため・消費者のためになる場合もあるのも疑いのない事実なのでしょう。


デフレーション・インフレーションの微妙なバランスの維持、あるいはスタグフレーションを防ぐためには、各国々の金融政策や石油などのナチュラル・リソースズの動向など様々な問題が関係してくるのは当然ですが、各国々あるいは、世界的規模での「価格のコントロール」「カクテルの維持」、あるいは折々の業界での「必要悪の存在」も重要になってくるのではないでしょうか。

「OPEC」も定期的に総会を開いて原油の生産・価格を組織的にコントロールしています。
「メジャー」 (いわゆる「セブンシスターズ」などの採掘から販売まで全てを網羅している石油の大企業体)の暴走に産出国が危機感を抱いたことをキッカケとして設立された「OPEC」がもし、原油をコントロールしなければどうなるのでしょうか。

「メジャー」自体は現在は他の方向にもシフトしてきていますし、影響力も小さくなりましたが、「OPEC」の存在がないとしたら想像するだけでも世界経済に及ぼす影響は計り知れないはずです。


規模がはるかに小さく、「デビアス」や「OPEC」のコントロールとは少し種が異なりますが、日本でも協会や団体等の力で「一定の決められた基準としての額や利率」でコントロールされている業種も多々あります。

「日弁連」の強力な権力と統制力がある「弁護士」の世界もそうですし、最近は組合に加入していない人達によって安い料金のところも増えてきましたが、「床屋さん」も価格が今でもある程度統一され、価格カルテルが長い間維持されている業界ですね。

その強力な結束力?と力で、長い間「価格と報酬の利率の維持」の恩恵を受けています。

ここで勘違いしてはならないのは、「何々組合」「何々協会」などの上記の形態は「株式会社」などと同じ「社団法人」です。

株式会社は「営利法人」で、「何々協会」などは「中間法人」という形態ですが、「営利法人」も「中間法人」も社員と社員総会(株式会社でいえば株主総会)が必要ですが、「財団法人」には「社員総会」はありません。

「非営利法人」と違い「営利法人」の幅は広く、「中間法人」も大きく分ければ「営利法人」であり、「法人の目的」は同じといえますし、実際の形態もそれほど変わりません。


他に、過去には建設業界もある意味価格カルテルのコントロールがされていたともいえるのではないでしょうか?
(民間工事は別として)

その恩恵を受けていたのは、なにも建設業界だけではありません。
この業界が他業種に与える影響は想像以上に大きく、多くの業界が少なからずその恩恵を受けていたとも言えるのではないでしょうか?

国民は権力者や企業が不当に儲けているから「けしからん」と排除しました。談合などもってのほかだということです。
国民の血税が使われているのですから当然の意見でしょう。

贈収賄などは裁かれて然るべきなのは当然として、急ぎすぎた「必要悪」の排除だったのではないかという考えもあります。
価格がコントロールされた方法、その善し悪しは別として、その判断がはたして正解だったのかは私には判りません。

ただ、長く続いた価格カルテルの急速な排除は、少なくともその業界自体の排除・淘汰、あるいはそれに近い状態につながる危険性も伴います。
その業界が国民の生活にも直結するような大きな業界だった場合の排除・淘汰は、その職業と直接関わりのない人々を含めた国民全体の痛みを伴うことになります。

ですが、日本国民は大きな痛みを伴うことを覚悟で正論を貫くことを選択しました。
それは確かに素晴らしいことなのでしょうが・・・


これがもし仮に、他の恩恵を受けている業界と同じように「建設何々協会」なる「日弁連」並みの権力をそなえた団体が存在したと仮定して、ある程度の高い工事単価を維持・統制していた場合、国民の反応は違ったでしょう。

業者の方も、わざわざリスクと営業経費が掛かり、そして嫌われる談合などもする必要もなく儲けがでますし、国民も他の業界に対しての感覚と同じように普段気にもせず受け入れていたのではないでしょうか?

つまり「コントロールする方法」により嫌悪感を抱くのです。

私には何が善くて何が悪いのか、本当に片方のやり方だけが責められて然るべきなのかは、難しすぎて判りません。
ただ、何らかの「必要悪」は、今の成熟しきれていない資本主義社会には必要な場合もあるだろうということは間違いのないことなのではないかと考えます。


さて、カナダでの大鉱床の発見等のことなどによりダイヤモンド業界にも様々な変化が起きています。
以前のような圧倒的な占拠率もかなり下がり、その支配の影響力にも変化がおきていますが、それを最も感じとっていたのは「デビアス」自身でしょう。

2000年7月には価格コントロールの姿勢を見直す発表がなされ、翌年から「ルイ・ヴィトン」との共同出資で新しい宝石ブランドをスタートさせる体制を発表。
2008年には「カリナン鉱山」も売却し、「デビアス」も違う路線・様々な戦略的形態を模索しているようです。

ダイヤモンドを支配した巨大な帝国も時代と共に大きな変革を求められているのでしょうか。

しかし、これからも「デビアス」の動向は注目に値しますし、現在も業界に多大な影響力を誇っているのでしょう。
posted by マーキス at 12:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 万乗の帝国「デビアス」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月05日

「アメトリン」 神秘のバイカラー

コントラストの映える鮮やかなバイカラークウォーツ

今回は、水晶系の人気の宝石、「アメトリン」に関する記事です。

「アメジスト(アメシスト)」と「シトリン」の両方の色がクウォーツの結晶の中に見られるのが、両方の名前を合わせた「アメトリン」です。

アメシストやシトリンのクウォーツ系は比較的値段が手ごろな宝石ですが、「アメトリン」は「ボリビアのアナイ鉱山東部」の熱帯雨林の地方でしか採れない価値のある宝石です。

「アナイ鉱山」では他に「アメシスト」、「シトリン」、「無色のクリスタルクウォーツ」、「シトリンと無色のバイカラー」などの様々な色合いの水晶が採掘されます。

「アメトリン」は石英中の鉄不純物が熱によって異なる方法で影響を受けて形成されます。鉄分の濃度は、無色→紫→黄の順で濃くなります。

「アメシスト」は「紫水晶」と呼ばれ、熱を与えることにより黄色・レモン色に変化するのを利用し、市場に出回っている「シトリン」は加熱した「紫水晶」が多い。
天然のシトリン(黄水晶)の産出量は非常に少ないです。

紫外線に弱く、長時間紫外線に晒されると色の退化が起こりますので注意が必要です。
また、シトリンの中でも「マディラシトリン」と呼ばれるオレンジ色の強いシトリンは大変貴重なものとなっています。

アメトリンはアメシストとシトリンが大体半分ずつの割合で表れるようカットされます。
モース硬度は7で宝石に適し、多くのクリスタル・クウォーツはパワーストーンとしても人気ですね。

水晶は電気的性質から振動子として時計や携帯電話などにも使われ、工業的な需要も多く、ロシアでは沢山の工業用途としてのプリズム等の大型の合成水晶が製造されています。
合成のアメトリンも市場にはかなり出回っているようです。

アナイ鉱山が認識される前、一時期そのくっきりと色分けされた宝石は合成石なのかと、かなりの議論され、権威のある博士が自ら合成石に処理した写真を公開し、一時期は天然はあり得ないとの説も広まったようです。

アメトリン.jpg「アメトリン結晶」
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アナイ鉱山の存在が世間に認識され、アナイ鉱山の水晶が輸出されるようになったのは1993年。結構最近の出来事なのです。

「アナイ」とは16世紀にペルーを征服したスペイン人が結婚したアヨレオス族のプリンセスの名前で、その征服者が持参金として17世紀に鉱山を手に入れたそうです。


天然アメトリンにはブラジル双晶が確認でき、しばしば「ブルースター縞」といわれる縞がはっきりと見られるのが特徴のひとつです。
(合成にもブラジル双晶が見られる場合もありますが、「ブルースター縞」は天然のようにはっきりとは確認できないそうです)

P1000810.JPG「合成アメトリン」(とても綺麗です)
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合成と天然の区別は難しく、専門家が高度な機材を使って調べないと簡単には区別がつきません。

ただ、市場に出回っている合成アメトリンは濃い色合いのモノが多いようですし、アメシストとシトリンの境目にも特徴が見られるそうです。

取り合えず?あまり濃い目のものは疑ったほうがよいのかも知れませんね。
中央宝石研究所の担当者の方に、ダイヤの鑑定のついでに濃い目のアメトリンを見せたことがありますが、やはりそのような判断(濃い場合は取り合えず疑う)をしていたように思います。

ただ、市場価格を考えると高度な鑑別を依頼するまでもないようです。
合成アメトリンもとても綺麗ですよ。自ら楽しむ分には十分ではないでしょうか?
posted by マーキス at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | アメトリン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月09日

普遍のレアメタル 騰がり続ける「金」

「金」 史上最高値更新!

NY金相場が1オンス1245.60ドルとなり、史上最高値を更新しました。
金の影響を受け易い「プラチナ」も連動しています。
(金相場の1オンスは「1トロイオンス」といい、通常の1オンスとは少し重さが異なります。「1トロイオンス=約31.10グラム」、「1オンス=約28.35グラム」)

「ギリシャショック」をはじめとしたユーロ勢の財政危機、ドル安等の懸念から、安全資産である「金」が買われています。


この高騰により、中年層を中心に古くなった指輪やネックレス等のリサイクル、あるいはリフォーム目的での貴金属店への持ち込みも盛んに行われているようです。
デザインが古くなったジュエリー製品を沢山持っている方は、この機会に思い切ってリフォームしてみてはいかがでしょうか?

この時、通常地金は時価で買い取りはしますが、その持ち込んだ地金は、そのお客さんの注文する商品としては再利用しません。

その製品により微妙に割金の比率が違うので一度純金や純プラチナに戻します。
買い取った地金は別のプロセスを歩むので、持ち込んだものは中石だけを利用し地金は買取だけとなります。

また、「メレ」もいくつかのジュエリーに使われていたものを併せて使う場合もありますが、デザイン的に品質や大きさを合わせるのが難しい場合も多々あるので、新しく用意する場合が多いと思います。


さて、世界恐慌が意識し始めると、通貨の価値を無力化させないために紙幣以外の貴金属資産「金」の価値を高め銀行の健全性をアピールする必要があります。

「ギリシャショック」を発端・中心とした欧州各国々のデフォルト(債務不履行・国家債務不履行)の懸念からさらに「金」の高騰を招いたのでしょう。

小国も金の大量買いに走っており、国力を測るひとつのものさしとして、外貨準備の重要性と並んで「金の保有量」の重要度がこれからも増してくるようです。


アメリカの経済も危機的な状況に陥っています。
今後の動向次第では、米国債を大量保有している「日本」(外貨準備の運用に占める米国債の存在は非常に大きい)と「中国」にも大きな負担と危機が降り掛かってくることでしょう。
その各国の動向次第、特にアメリカの動き次第では「暴落」もあり得るのではないでしょうか。

極々単純に、ある意味不確かなものを大量保有しているという事は、発行先に運命を握られているということでもあります。
その場合、貨幣価値としての金の存在がクローズアップされてくるものと思われます。

もちろん、米国債がすぐにデフォルトに陥る可能性は低いでしょうし、米ドルの暴落もあり得ない。
ドルのその重要性と必要性から下がり続ければ必ず反動もあるでしょう。

金本位制が崩壊されたとされる現在の紙幣の流通の健全性(主にドル本位)を考えれば、金地金等の貴金属への依存が大きすぎるのは好ましくないように思いますが、今後もこの「金」の重要性と動向から目が離せません。


日本は金採掘量は別として、工業製品としての「潜在的金保有量」は世界有数の国だと思います。(たぶん世界一?)

一般的に保有量が少ない国とされていますが、その実質的な?存在量は相当なものです。
鉱山での金の掘り出しに掛かる鉱石の大量な掘り出し量と手間を考えれば、この「潜在的保有量が示す価値」は計り知れないものがあります。

この潜在的保有量に関して日本の認識はまだまだ甘く、使用済み工業製品の多くが中国などへ大量に流れています。
日本が世界経済に対抗するための「金」等のレアメタルに関する重要性を、もっと政府を含め国民全体が認識すべきなのではないでしょうか?

ちなみに、日本での有名な金鉱山である九州の「菱刈鉱山」の鉱石1トンに対する金の含有量は世界一だと聞きます。


遠い将来(近い将来?)、その絶対量の少なさから本当の意味での通貨価値がなくなり、金やプラチナなどは純粋な意味でのレアメタルとしての価値が高まって行くのではないでしょうか。

そして宝飾品としての需要が他の産業と比べても非常に多いこの貴金属の価値も、今後ますます高まってくるものと思います。

普遍の価値のある、永遠の象徴性を持った「金」は将来も人々を魅了してやまないのでしょう。
posted by マーキス at 13:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 貴金属 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月12日

紛争ダイヤモンド 欲望が生んだ戦争と取引

アンゴラの内戦 争いから欲望の目的へ

ダイヤモンドはダイヤが持つその性質から長い間盗難や密輸が行われてきました。

ポルトガルの植民地政府から独立した「アンゴラ」で、1975年から勃発した「アンゴラ解放人民運動(MPLA)」と「アンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)」の内戦は、ダイヤモンド戦争と呼ばれる、内戦国から流れるダイヤモンドの問題の最たるものでした。

1993年までにアンゴラの4分の3を支配した「UNITA」は、ダイヤモンドを産出する主要な場所を手に入れ、その多くの収益が戦争の資金の支えとなっていましたが、1994年、和平協定に署名。武装解除しました。
(その後、再び争いが始まりましたが・・・)

ダイヤモンドの販売による収益で多くの富を得た「UNITA」は、敵を倒すための戦闘能力を支える資金が目的のはずだったダイヤモンドの収益が、いつの間にか利益を得るための目的へと変わって行ったようです。

「コンゴ」でも各アフリカの軍隊がダイヤモンドを目的として入り乱れており、アフリカの第一次大戦と揶揄された紛争です。
外国からの侵入者を含め、あらゆる者たちがダイヤモンドの産出地帯を手に入れようとしていました。

戦争の最中、盗品を含め大量の非合法ダイヤが市場に流れるようになりましたが、その流出の基点となっていた所のひとつが、西アフリカの「リベリア」です。
非合法の大量のダイヤが、リベリアを通過して市場に流れて行きました。

「マネーロンダリング」ならぬ、「ダイヤロンダリング」「リベリア」で活発に行われていた訳です。
良質とされるアンゴラのダイヤもリベリアで大量に「洗浄」されました。


カンボジア森林等の木材の違法伐採を告発してきた「グローバル・ウィットネス」というNGOのグループが、このダイヤモンド紛争による違法ダイヤの詳細を暴き、発覚した事実に飛びついたマスコミにより、ダイヤモンド業界の黒い部分が浮き彫りにされ、さらに1999年、「グローバル・ウィットネス」は「死に至る取引」キャンペーンを展開。

ダイヤモンドがアフリカ地域で繰り返される血で血を洗う紛争と密接に関係している事を国際社会に告発した事をきっかけとして、他のNGOも次々とその問題に取り組み、ダイヤモンド業界をゆるがす大きな衝撃となったのです。


これを受けて「デビアス」はアンゴラの購買所を閉鎖し、公開市場でアンゴラの原石を買うのを禁止。

2000年にダイヤモンド産業界の流通網から「紛争ダイヤモンド」「非合法ダイヤモンド」を排除する目的として「キンバリー・プロセス」が発足しました。(2003年1月施行)

ダイヤモンド原産地証明書の義務付け、また、すべての輸入国はキンバリー・プロセス認証なしの未加工ダイヤモンドを受け入れないことに同意。
更に、ダイヤモンド産出国は定期的な国内検査の受け入れの義務付け等、その他諸々多くの基準・規則が決められました。

しかし、「デビアス」が活発に公開市場で購入していた原石の中に「紛争ダイヤモンド」が含まれていたのは間違いなく、デビアスの内部調査で「自社の原石に問題はないと判断できた」というのは、にわかに信じ難いことです。

また、デビアスの鉱山だけでも数億ドルにのぼると云われる盗品のダイヤを含め、莫大な量が取引されるダイヤモンドが、流通末端まで至る間に政治的統制力の弱い地域・国々も経由し、複雑で長い経路を経るほど、特にその末端に近い業者が非合法のダイヤか合法なダイヤか判断できるのは不可能に近い。

そして、当たり前の話なのですが、ダイヤは大麻や覚せい剤などと違い、一旦流通してしまえば持っているだけではもちろん違法ではありません。
更に、業者から業者、人から人に渡ったり転売されてきたら、善意の第三者にとって、それが紛争ダイヤの非合法ダイヤかなんて関係ありませんし、意識もありません。

一般消費者から見れば美しく魅力的な「ダイヤモンド」という宝石の商品でしかないのです。
少量ならば人ひとりでも容易に隠して持ち運びができ、テレビや車などの分かり易い工業製品と違い、どこの製品か見た目で区別のつき難い、自然の鉱物である宝石の根本的な難しさです。

盗まれたダイヤをデビアスが知らずに買っている場合も多々あるでしょうし、盗品は別にしても産出国を決定付け、間違いのない末端までの流通を確実に遂行することは現時点では不可能でしょう。


まずは原石に付着した土・泥等の成分を科学的に調べるシステムを確立することも急務ですが、様々な企業の商業戦略の目的から、原石の品質を特定される危険性もある取り決めとサンプル提供に多くの企業が難色を示すのではないでしょうか?
(輸送や小売業者などの販売・流通のいわゆるダウンストリームの業界はいざ知らず、鉱山会社・採掘会社などのアップストリームの業界はたぶん死活問題になってくるのではないでしょうか)

各地域・各参加国とダイヤモンド産業界の統制と厳しい指導・調査及びシステムの確立が「キンバリー・プロセス」には求められています。

人々を魅了してやまない、価値あるダイヤモンド。欲望の連鎖はとどまる気配がなさそうです。
posted by マーキス at 19:11| Comment(0) | TrackBack(0) | ダイヤモンド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月16日

憂う脆弱国家 「アフリカ大陸」

「宝石と貴金属の国」 の貧困と格差


アフリカ大陸内の各国々は、GDPの経済成長率の平均が5%を超える国が増え、インフレ率も低下するなど、全体としては良い経済状況に向かっているとも言えますが、まだまだ極めて貧しく非常に深刻な貧困問題を抱えています。

世界銀行の「脆弱国家」に指定されている国が大半を占めており、そのうち3ヵ年間以上指定されている「脆弱国家」は15ヵ国に上ります。

経済成長率が上がっているとはいえ、2002年より前のおよそ20年間の経済成長はまったくありませんでした。それ以降に急激に成長。

つまり、その20年間に人口は増え続けたのですから、1人あたりのGDPは2002年まで下がり続けていたのです。
そこから少々回復したところで、その貧困の度合いは「察して然るべし」です。

1日1ドル未満で生活する人の割合は、全体の「41%」にも上り(2004年データ)、飢餓率が35%を超える国が18カ国もあります。

近年の経済成長も脆弱と言わざるを得ない。
アフリカ各国々「自身」の内的要因での成長ではなく、他の国々からの外的要因だからです。

どの国の経済発展でも、もちろん外的要因はありますが、その国自体の様々な事柄の発展・成長が伴うものでなければ健全とはいえませんし、真の成長ではありません。

また、アフリカの経済成長は、資源価格の高騰と連動しています。
2002年から石油・金属等の資源も上がり続け、市場の意向が定着することにより、再び資源開発への気運が高まり、輸送インフラの不備から来る開発に掛かる高コストの懸念も吹き飛ばす勢いで、アフリカ大陸の資源開発に拍車が掛かっているようです。

これは「中国」が勢いを増し、中国の設備投資と輸入資源増大などの影響からも、さらに拍車が掛かったといえるのかも知れません。

中国主導による動きに、世界経済の大きな変化・シフトが起こったと見るべきなのでしょうか。

そしてこのことは、過剰開発・乱開発、及び違法採掘、緑の自然破壊、違法伐採等、世界の国々皆で憂慮し、監視して行かなければならないことです。

また、各国の中での生活格差も大きいですし、アフリカ諸国の各国同士の格差も広がっています。
資源が特に豊富な「南アフリカ」は、過去にはキャラミで「F1グランプリ」も開催されていたように、パワーを持った国のようです。
(もちろん、白人主導だったのですが)



アフリカの5歳未満の子供の死亡率は未だに驚異的に高く、衛生面の悪さも相変わらずで、HIVの感染率も集中しています。

日本を含めた先進国が、上下水道の整備と技術提供や医療施設の援助及び技術提供等、生活をする上での根本的な援助と彼ら自身が自らの力で自立できるよう、技術の提供と支援・指導を行わなければならないでしょう。


人間が生きて行く上で、「水」は何よりも大切です。綺麗な水がないと衛生も保てない。

また、工業技術・産業の発展にも「水」は絶対欠かせない相互関係があり、日本でも工場・工業地帯や、あるいは積極的に工場誘致しているような地域は「水」が豊富な地域のはずです。

工場を筆頭とする産業施設には、知らない人が想像する以上の莫大な量の水が必要であり、水の枯渇した地域の発展はあり得ない。


文字通りの泥水を啜っている彼らは、綺麗な水を汲み上げる技術も排水の技術も管理の仕方も知らない地域が多い。

産業を発展させるためには、この「水」と技術、資金・人材などが必要なのは当然ですが、管理技術も大変重要です。
それがなければ、せっかく造った施設も廻って行きません。最初だけ機能するだけで、すぐに放置されるようになるでしょう。

そのような事に慣れておらず、学校教育もままならない途上国の人達には技術を教えるだけでなく、「管理能力の教育」も絶対に必要不可欠な事柄のはずです。
根底からの支援が必要であり、非営利団体等のボランティアに近い活動だけでは限界があるでしょう。



アフリカの資源埋蔵量で世界に占める「ダイヤモンド」の割合は約60%、「プラチナ」は80%を超え90%に近い。
当然、ダイヤモンド産業の収益と依存度はとても大きい。

他の国々と同様、ダイヤや貴金属資源をはじめアフリカの恩恵を沢山受けている日本ですが、アフリカに対する援助貢献度の割合は過去に比べかなり減ってきています。
(かといって国力から見た割合ではけっして悪くはないのですが・・・。無償援助はたしかに少ないようです。)

また、世界の他の国々もそうですが、「デビアス」も各アフリカ諸国に対して、慈善寄付や政府と提携してのインフラ整備等の支援活動も行っています。

私達に大切な資源を大量に与えてくれるアフリカ諸国。
根底からの生活支援とそして何よりも大切なのが、「教養と教育」の支援です。




■※右サイドバーに「動画リンク」を追加してみました。
テーマはランダムに、何か見付けたら追加・ご紹介してみようと思います。
宜しかったら御覧下さい。
(もし、動画が削除されていたら御了承願いますとともに、ご指摘下さい。)
posted by マーキス at 00:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界と日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月21日

戦い続ける「ダビデの星」 イスラエル

「イスラエルとデビアス」

中東の小国イスラエルは、国家設立以来ダイヤモンドの輸出及び研磨加工等により高い成長率を誇りながら発展してきました。

イスラエル経済を支える重要なダイヤモンドの輸出入に対し、関税を掛けないなどの優遇処置を施しながら産業の育成に努めてきたようです。

ダイヤモンド産業で急速に力をつけてきたイスラエルと、ダイヤの巨人「デビアス」は一時期対立をし、イスラエルはデビアスを通さない南アフリカからの直接の買い付け等の策を講じ、デビアスはイスラエルに対し原石割当量の削減等を行うなど、両者譲らずの深刻な争いとなったのです。

市場のコントロールが利かなくなり、イスラエルはダイヤモンド産業が急速に落ち込んだため、再びデビアスのコントロール下に置かれることとなります。

ちなみに、元々ユダヤ系であるオッペンハイマー家ですが、「サー・アーネスト・オッペンハイマー」は、ナミビアでの成功後ユダヤの信仰を捨て、英国国教会に改宗したと云われています。

(息子の「ハリー・オッペンハイマー」は、生涯ユダヤ人の支援者だったと云われますが、創業者の多くがそうであるように、リスクを厭わず、又、単純な野心だけでなく複雑な思考を兼ね備えた、「サー・アーネスト」の改宗の真意はどこにあったのかは・・・定かではありません。)


イスラエルダイヤモンド協会は昨年、中国は最優先で開拓している重要な市場であると発表しました。
(中国国務院直属の通信社である「新華社」発表による)
イスラエルのダイヤモンド産業界も中国がターゲット。やはり今は中国抜きで経済は語られないようです。



「イスラエルの資源とは」

イスラエルの資源は豊富ではありません。しかし、強固な意志と高度な教育レベルから来る、その「人材」こそがイスラエル国家に存在する豊富な資源ともいえるものです。

また、ユダヤ人特有の商才や全世界に散らばる支援者及び情報提供支援者、さらに米国の支援(及びドイツ)もイスラエル国の経済及び存続の基盤となるものです。

現在は、エレクトロニクス、ソフトウエア等のハイテク産業が大きく成長し、マイクロソフト・インテル・ヤフー・HPなどの企業の研究所・工場の誘致にも成功。また、GDPに占める研究開発投資は突出しています。

イスラエルの科学技術の発展には、ロシアからの有能な研究者の存在、及びベンチャー企業の存在も大きく寄与しているのが特徴ともいえます。

水資源が乏しく、建国いらい敵に囲まれ争い続けてきた小国としては、驚異的な発展とも言えますし、厳しい中東の国の中でのその教育レベルの高さは驚愕すべきものです。

また、各省庁それぞれの研究開発費が割り当てられていますが、イスラエル政府出資の研究開発費のうち、半分は一般大学への助成金、3分の1が産業の技術開発費に回され、その二つの出資だけで、全体の80%以上を占めています。

そして、この国の予算で、国防省の次に予算を持っているのが教育省です。
これといった豊富な資源はなく、さらに水にも乏しく敵に囲まれたこの国が存続し続けるためには、人材の質が何よりも大切だということが判っているのでしょう。

「天然資源がなければ人的資源で」
厳しい国際社会で国を繁栄させるためにはそれしかありません。
高度な知識・道徳・独立心を教育し、知性と教養を育てるしかない。
それはもちろん、同じように資源が乏しい我が国「日本」にもそっくり当てはまります。



ただ、国土と国の規模があまりに小さく米国などと地理的にも離れ、且つ、水資源の乏しい国ですからイスラエル発の世界的大企業は存在しません。

水資源が乏しいということは、工業産業施設だけでなく農業でも勿論厳しいのですが、数々の品種改良や生産方法の改良を行い生産性が飛躍的に向上し、農作地も沢山増え一部農作物も輸出できるようにもなりました。

(農業地方省では、水の効率的な利用、「脱塩技術」「下水処理」「浄化技術」等の研究・技術開発も優先的に行われているようです)

しかし、イスラエルも優秀な頭脳の流出に頭を抱えているようです。
主にアメリカ・カナダへの移住が多く、給料が多いことも大きな原因でしょう。国力の違いがやはり現れるところであり大きなジレンマです。


また、イスラエルはとても政治的に成熟した国です。腐敗に対する自浄作用も徹底しており、重要な省庁でさえ日本のように無駄に贅沢なお金を掛けず、日本から見れば必要最低限の掘っ立て小屋?(ちょっとオーバーですが)で賄っているのです。

依然不透明な対アラブ・中東和平問題で、世間に批判されながらも時に強硬な姿勢も垣間見るイスラエルですが、「たとえ、世界中に嫌われても我々は生き残るほうを選ぶ」 という、強固な意志を持った国です。

日本人の感覚とはかなりの違いのある国ですし、一般的日本人はどちらかというと親アラブ、あるいは親パレスチナのほうが多い?ようですが、色んな意味で日本とリンクする部分も多い。私も常に注目している国です。

強烈なナショナリズムと旺盛な独立心、そして自らの国家・国民が議論と戦いを止まないイスラエル。
「ダビデの星」が輝き続けることは、日本人に足りない何かの気付きを与えてくれるようにも思います。
posted by マーキス at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界と日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月24日

飛躍する聖賢の国 「天竺(インド)」

「リーマンショックに動じなかったインド」

インドの宝石産業はインド経済において重要な位置を占めています。
特に「金」の需要の多い国で、ゴールドジュエリーの市場に占める割合は大変多いものとなっています。

そのゴールドジュエリーは、多くがインド国内で消費されるものです。

また、ダイヤモンドのカット・研磨産業が盛んであり、ハイテク機器も備え、加工済みダイヤモンドの提供、及び大量消費国として世界のジュエリー市場での重要な位置を担う国です。
(北西部のスラートは重要なダイヤモンド処理産業地域で、生産高の約80%を輸出しています。)

インドで製造されるゴールドジュエリー等の産業及びダイヤモンド処理産業は、小さな会社で製造・加工されているのがほとんどですが、今後は組織化された大きな企業が台頭してくるものと思われます。

また、インド政府はプラチナの輸入税の削減やカラーストーンの免税、輸出の広大のため未加工の宝石は非課税などの優遇措置を行っています。
さらに、宝石・ジュエリーの設計・開発をサポートする沢山の機関があるようです。


インドはIT産業でも躍進しています。
その原動力は「教育」です。

地方による貧困の差もまだまだあり、義務教育が規定されたとはいえ、まだ完全実施の普及には至っていませんが、日毎に教育レベルが上がってきており、優秀な人材の多くはアメリカの大学に留学しています。

(アメリカには毎年6〜7万人が留学していると云われますが、日本への留学は僅か数百人程度です。)

インド側は日本との産業を含めた多くの事柄での関わりを望んでいるようですが、日本側の受け入れの意思はまだ薄いようです。
(インドは極めて親日的な国だと云われています)


インドの特筆すべきものは、「若者の人口比率が非常に高い」ことであり、25歳以下の比率は53%もあります。これは大きな強みでしょう。
(日本は僅か27%程度で、中国は41%です。)

また、インドの数学教育の意識は高く、「ゼロ」を発見した国の誇りはともかく、あらゆる技術の基礎は数学にあるという基本思想と共通認識を持っているようです。

初等学校(日本の小学校の1年生〜5年生)でも基礎的な計算が暗算で出来ることも重視しており、また、お金と数学に関する教育も同時に行われ、3年生ではレートチャートや請求書の作成等も行っています。

(日本はお金のことや経済の流れ等を、子供の頃になぜかほとんど教えません。それでは実社会に出ての判断力を養うことは出来ませんし、さらにそのことは、実は勉学の重要さに気付かない人達を大量に生んでしまうことにもなります。環境に恵まれていない人ほど、気付かなければならないのですが・・・)


リーマンショックにも揺れず、堅実な経済成長を遂げているインド。
不動産バブルが絡んでいるわけでもなく、内需主導の堅実なパターンを歩んでおり、国内の携帯電話の需要や乗用車の販売等も順調に推移しています。

今後の成長において、まだまだ貧弱なインフラの整備(産業発展に非常に重要で、早急な対応が必要でしょう)、これからさらに拡大するであろう生活格差、発展を続ければ直面するであろう地価の高騰、複雑な徴税システム、劣悪な隣国パキスタンとの関係などなど、課題は多いインドですが、今後中国と並んでその成長が期待されます。


このインドは何かとてつもない可能性を秘めた国に思え、個人的に注目している国です。

工業製品の輸出はまだまだ芳しくありませんが、先進国の今後の関与の仕方如何では、若しかしたら中国に次いで「化ける」国なのかも知れません。
posted by マーキス at 15:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界と日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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